【45話更新】「彼の香りと私の匂い」のネタバレと感想まとめ ｜Love Silky

「Love Silky」に掲載されている「彼の香りと私の匂い」のネタバレと感想です。

文字のみのあらすじとなっておりますが、ネタバレ注意です！

精神疲弊状態でコロッケパンを投げつけられたまま、固まっている黒木に手を差し伸べたのは白川。無職で黒木からも拒絶されてしまった香に声をかけたのはみどり。そんな白川とみどりも決してうまくいっているとは言えません。ですが、白川は取締役への昇進を断って労務部に、みどりは新たな人材育成会社の設立にとそれぞれ歩き出しています。

そんなみどりの姿に香が思うのはーーー？

なんだか対局的な4人ですね。みんなそれぞれ問題を抱えているのは同じですが、向いている方向が違います。白川とみどりは無理矢理にでも現実と向き合い、前を向く。一方、黒木と香は現実に打ちひしがれるままに後ろ向き。この顔の向きがこれから先に大きな影響を与えそうですよね。

見ている感じですが、黒木と香はまだまだ捨てきれないプライドがある気がします。黒木は未だにみどりに執着しているのは火を見るより明らか。ですが、それは自分が一度愛した女性以外の人を選びたくないというプライドと、一度自分が頼りにした人を手放したくないというプライド。一方、香は自分が最下層と言いながらもどこかで自分は一番下じゃないというプライドがあります。 現実を見て、向き合おうとするとそのプライドを崩す必要が出てきますよね。その勇気さえあれば、今の状況から一歩前に進めるはずなのに、それが出来ない2人。これからどうなるのでしょうか？

後ろ向きな黒木と香とは違い、白川とみどりは前を向こうとしています。もちろん、それが正しいかはまだ誰もわかりません。ただ後ろを向いているよりはずっと良い事だけは明らかですよね。 出世欲が強い白川が取締役への昇進を断ったのは少し驚きました。ですが、どうやら会社の告発に踏み切ったみどりの姿や精神疲弊している黒木の姿に思うところがあったようです。おそらくですが、自分に出来る、もっと環境が良くなることについて考えたのではないでしょうか？これから白川がどう成長していくかが楽しみですね。

そして、みどりもまた前を向こうとしています。どれだけきっちり整えてもノーメイクでは通らない面接。ですが、ちゃんとポートフォリオと身なりを整えれば、簡単にパス出来てしまう状況に嫌気が差したようです。自分の会社を持つのは大変だと思いますが、みどりならなにかと上手くやってくれると思います。 ただちょっと気になるのは白川とみどりがすれ違っていること。仕事は上手くいっても生活が不安定だとなかなか大変なもの。これからこの2人もどうなるのでしょうか？

これからが気になる展開ですね。まるで背中合わせのように前と後ろを見る男女4人。少し視点を変えて、意固地にならずになりたい自分に向けて進めば、それで良いだけなのに黒木と香にはまだそれが難しいようです。いろいろと人を振り回してきた2人ですが、小さな幸せに喜べる人になってほしいのですが、どうなるのでしょうか？

みどりの告発により、会社内は慌ただしくなりますが、それでも仕事がなくなるわけではありません。不安定な状態で仕事を続ける白川は少しずつ不安になっていきます。そんな白川が求めたのは他でもないみどり。そして、みどりを失い、仕事の目標さえも見失った黒木もまた支えを求めていました。

みどりに頼まれ、香は黒木の支えになろうとします。
しかし、黒木が求めている支えは香ではなくてーーー⁉

白川とみどりの関係は思えばかなり歪に始まりましたよね。みどりは当時黒木と結婚していましたし、白川はこの関係が不貞行為と言われるのをわかっていて、みどりと関係を結びました。それでもお互いにお互いの存在を求めているような雰囲気があの当時からあったと思います。ちょっと2人とも歪んだ考えがあるような気がしないでもありませんが、仕事には真面目で、所謂キャリア組と呼ばれた2人です。

そんな感じで似た者同士の2人だから、お互いの欠けたところというか、補ってほしいところところが本能的にわかったのかもしれません。触れ合う中でお互いの不安定なところを、気付かぬ内に補い合って、気が付けば、2人でいるのが一番楽になった。2人を見ているとそんな大器晩成型の関係が出来上がって来たような気がします。 成り立ちはちょっと歪で、決して正しい関係とは言えませんが、なんだか白川とみどりは本当にお似合いになってきました。これから2人はちゃんと幸せになるのでしょうか？楽しみですね！

白川とみどりに比べて、黒木と香はどうでしょうか？ 心の底で繋がり合うような、不思議な居心地の良さを感じ始めている白川とみどりに比べて、黒木と香はその結びつきが徐々に緩んできます。そもそも当時黒木が結婚していたみどりとのすれ違いに不安になっていたところに、香が入り込んだことが2人の関係の始まりです。たしかに始まりが歪なのは白川とみどりも同じですが、黒木と香が違うのは求めているのがお互いではないということではないでしょうか？

当時の黒木が求めていたのはみどりの代わりに自分のそばにいてくれる存在です。そして、香が求めたのは香曰く最下層にいる自分を引き上げてくれるハイスペックな男性。こうみると2人はただ都合がよかっただけで、別にお互いを求め合って、そばにいるというわけではありませんよね。 ですが、香は少しずつ黒木を心から求め始めています。しかし、黒木の中からはまだみどりは消えていません。この違い、まるで終わらない追いかけっこのようなすれ違いは大きな嵐の目になりそうです。これからどうなってしまうのでしょうか？

白川とみどりは少しずつですが、恋人同士になろうとしていますよね。しかし、黒木と香はそうではありません。というより、黒木はまだみどりに依存していて、香に依存することが出来ていない感じです。それは香自身が依存体質なこともあると思いますが、香がまだ黒木と正面切ってぶつかっていないからな気がします。香お手製のコロッケパンが黒木に与えたのはぬくもりではなく、2人の間にあって、これまで目を反らしてきた深い谷間なのかもしれません。

ついに離婚届をみどりに差し出した黒木。
これで自由になったはずのみどりですが、立ち去る黒木の姿に思わずトキメキを思い出してしまいます。しかし結局みどりが向かったのは、白川の元です。2人で歩くいつかの未来を思い浮かべました。

一方黒木が連絡したのは、香でした。黒木は香のことを着信拒否までしていたのにも拘らず、連絡した理由とは–––––!?

ようやくみどりと黒木は離婚しましたね。そんなみどりにとって、香とはどんな存在なのでしょうか？普通に生きていれば、交わることのないタイプの2人です。

しかし、ひょんなきっかけから関わるようになり、みどりは香という全く違う人間を知りました。貧困、暴力、裏切りなどみどりにとっては我慢できないことを当たり前のように受け入れてる香。その姿はみどりにとってカルチャーショックだったようですね。

そんなみどりの姿に、彼女もまた誰かが受け入れられないことを受け入れているようにも見えました。他人と自分が違うのは当たり前ですが、どこか似たようなところは誰しも必ず持ち合わせているのかもしれませんね。

ようやく離婚できたのに、みどりは離れていく黒木の姿にときめいている様子がありました。それは今まで離婚に対して否定的だった黒木が離婚を受けいれたことが大きいと思いますが、なんというか黒木が変わったからですよね。前までのなよなよしているどこか頼りない姿が見えませんでした。好きだったと口にしたり、離婚届けを渡さなくてはいけないと分かっていながらもみどりに会いたいから来たと言ってみたり。

今までの黒木では考えられませんよね。だから、ちょっともったいなくなったから、ときめいてしまったような気がします。これから先、黒木が成長する姿を見られない後悔はまたみどりを襲うのでしょうか？

ついにみどりと黒木が離婚してしまいましたね。なんだか寂しいような気がしますが、これでみどりは白川と、そして香は黒木と過ごすことが出来ます。しかし、この選択は正しかったのでしょうか？続きが気になりますね！

浮気相手の白川がみどりとの時間を楽しんでいるところに、一本の電話が掛かってきます。掛けてきたのは香です。レイプされたという電話にみどりは、なぜか香の元に駆けつけました。ですが向かった先にいた香は、想像とは違いあっけらかんとしています。

レイプされても男に好かれたいと望む姿も、コーンスープを客に出す姿も、同じ服を着ていても 自分とは違うとみどりは香を見つめました。そして香を送った帰りに顔を合わせた黒木の涙を見て、やっぱりこの人は愛した人だったと実感したみどりですが……？

みどりも、香も同じ女性ですよね。ただ2人には、今回みどりが実感したように大きな違いがあります。それは評価の基準がどこにあるのか。 2人とも自分が幸せになる道を探してはいますが、みどりにとっての幸せは自分が満足する幸せ。つまり、自分の中に幸せの尺度があります。 しかし香にとっての幸せは、誰もがうらやむ幸せ。香の幸せの尺度は、他人に依存しています。自分の幸せの尺度を自分に持つのか、他人に任せるのかでここまで違うとは思いませんでした。 この違いがこのあと、2人にどんな差を生むのでしょうか？

作品を通して言えることですが、香の情緒ってなんだか理解できませんよね。 普通レイプされたら悲しんだり、怒り狂ったり、呆然としたりと何かしら感情に動きがあると思います。 しかし、香はまるでいつも通りみたいな態度でオムライスを頬張っていました。しかもその上、黒木と不倫していることをみどりの服を着ながら、みどりの靴を履いて、みどりに堂々と話すあたり、頭のネジが飛んでいるとしか思えません。香の感情や情緒はどうなっているのでしょうか？

みどりはついに諦めがついたみたいですね。黒木の優しすぎるところに惚れたみどりですが、その優しさは時に凶器ともなります。黒木の優しさに苦しみ続けたみどり。後悔のない決断をしてほしいですね。

関西にいる黒木の妻、みどりは付き合いの長いセックスフレンドがいます。結婚してもまだ関係が続く彼ですが、転職をして東京に行くとみどりが話すと付いて来てはくれないようでした。白川から突き放されたように感じ、まるで恋している感覚に陥るみどり。ふと頭の中に、焦った様子の黒木が浮かびました。

一方その頃東京にいる黒木は、関西に行ったっきりなかなか会えない妻のみどりのことを考えていました。結婚しても手に入れられないみどりのことを、恋焦がれる黒木。しかしそんな黒木の前に現れたのは香です。以前みどりと食事をしたことを香は話しますが、黒木はまともに取り合ってくれません。その日の帰り道、香は見知らぬ男たちに突然襲われて––––––⁉

この作品に登場する人は誰もが歪んだ恋愛観を持っていますよね。黒木の恋愛はいわゆる依存型、相手がいないとどうにもならないタイプ。みどりの恋愛は奔放型とでもいいますか、恋愛と私生活をしっかりわけているように見えますが奔放にもほどがあります。

そして香は執着型、思い込んだら一直線、どんな相手でも自分のものにするためなら手段を択ばないタイプに見えます。人それぞれ恋愛観というのは違いますから普通の恋愛なんてないと思いますが、この作品の登場人物はみんな少し異質ですよね。そんな彼らが少しずつ近付いていきます。一体、どんな化学反応を見せてくれるのでしょうか？

これって一番悩みますよね。着飾ってみたり、誘惑してみたり、相手になにが響くかわかりませんから、色々とみなさんも手をこまねていると思います。そう考えれば黒木にアプローチをしているだけ、香のほうが積極性があっていいように見えますよね。

しかし、彼女の方法はあまりにもルール違反です。相手の弱みにつけ込んで関係を迫ったり、相手の恋人の悪い噂を耳に入れたりと確かに有効な手段だとは思いますが、あまり良いものではありませんよね。それでも香はまだ黒木のことを諦めていない様子です。香はこの後、どうするつもりなのでしょうか？

香は一体なにを考えているのでしょうか？そして、みどりの本性がちょっと気になります。なんだかみどりと香って似た者同士じゃないですか？ただみどりの方がこう明るいと言うか、人生楽しんでいるというか、その差だけであまり2人に違いはないように見えます。そんな女性2人に挟まれた黒木のこれから、気になりますね！

絶対に黒木を自分の物にすると決めた香。ふと目に着いたのは、他の女性社員たちの履いているブランド物の素敵な靴と自分の履き古した安物の靴でした。彼氏に買ってもらった物だからと誤魔化しましたが、本当は香も素敵な靴を履きたいと思っています。そのため彼女は、靴を履くためにバイトを始めました。

ですが貯めたバイト代は、急に倒れた母の医療費に消えてしまいます。その時、香は黒木に電話をしました。ちょうど妻が帰ってこられなくなって、料理を持て余していた黒木は香を迎え入れてしまいます。玄関に黒木と妻の素敵な靴と、香のみすぼらしい靴が並びました。

食事が終わって迫る香ですが、妻がいるからと黒木は断ります。揺らがないその姿に余計に黒木に執着する香。酒に酔わせて弱ったところに、なかなか帰ってこない妻への愚痴を黒木に言わせたところで妻の服に袖を通しました。

結局、妻の名前を呼びながら、香と関係を持ってしまった黒木。
家を出る時、香は妻の服を着ていました。足元には素敵な妻の靴が光っていて–––––––⁉

人の性格を見るときには靴を見ろと確かに言いますよね。他にもおしゃれは足元からとか、良い靴は良いところに連れて行ってくれるとか、良い靴には良い人生がついてくるような気がします。だから、黒木の妻の靴を奪って、黒木と生きる生活を奪ってしまおうと考えているのではないでしょうか？本当なら香にもちゃんと幸せになれる未来があるはずですが、どうやら香は履く靴を間違ってしまったようです。その靴が案内する先はきっと茨の道のはず……。

この物語を読み進める度に思うのは理想とする幸せと手に入れられる幸せのギャップをすごく感じませんか？香が理想としているのは一流企業で働きながら一流の男に愛される自分です。しかし、それはなんだか叶いそうにありませんよね。もし、本当に叶えたいならもっとやることはありますが、香はそれを他の誰かのせいにして、頑張ろうとはしません。早く香には彼女なりの幸せを見つけて欲しいものですが、誰かそれを気付かせてくれないのでしょうか？

自分の彼女は浮気なんかしないと断言する黒木。しかし香は、黒木の彼女のみどりが他の男と親しげに歩いているのを見つけてしまいます。一方黒木は彼女にセクハラ発言をした男を殴ってしまい、職場の人たちから冷めた目で見られていました。

そんな黒木はセフレから殴られた跡が香の頬にあることに気が付き、そんな男は止めろと言います。しかし、香にとって助けにも何にもなりません。わかったようなことを言って、自分を傷つけるだけ。全てを諦めたような香の言葉に、黒木もまた自分を助けてくれる人なんていないと遠くを見つめます。

その瞬間、触れ合った黒木と香の手。2人の手はそのまま離れないまま、会社の片隅にある倉庫で体を交えてしまいました。
行為が終わると、恋人を裏切ったと罪悪感に苛まれる黒木。香から恋人が浮気していると言われても信じようとしません。自分が浮気したのに、なぜ相手がしていないと思うのか香にはわかりませんでした。

しかし香には、それは黒木を諦める理由にはなりません。
それどころか、黒木は罪悪感から食事や買い物に誘うようになりました。体の関係もなく、ただ食事や買い物を楽しむだけの時間は香にとっては初めての経験です。香は一緒に行った店などを全てメモに取り、出かける度に黒木に想いを伝えました。

隣にいる黒木から香るのは、弱さと善良さが共存する優しい匂い。
その心地いい匂いを嗅ぎながら日々を過ごしていると突然、黒木が結婚したとの話を聞きます。そこで香は、いままで通りの関係を続けるかを黒木に聞きました。"浮気じゃないから大丈夫だよね。"と自分に言い聞かせるように呟きながら頷く黒木。

その様子を見ながら香は、黒木を自分のものにする覚悟を決め–––––––⁉

お、恐ろしい展開になってきました。
香の根っこには誰かに大事にしてほしいという思いがありそうですよね。今まで母親には大事にしてもらいましたが、あまり生活能力の高くない母親のせいで苦労をしてきました。それにセフレたちにはひどい扱いを受けてきています。
そんな香にとって優しくて、自分を否定することのない黒木の隣はとても居心地がいいのではないでしょうか？でも、黒木も結婚しましたし、香には新しい男性を見つけて欲しいところです。ですが、香はそう簡単には止まりませんよね・・・。

憧れの東京で好みの男性、黒木を見つけた香。運命的な出会いに浮かれる香は、勢いそのままに黒木を食事に誘いました。黒木からは彼女がいるからと断られますが、香は諦められません。食い下がりますが、黒木に逃げられてしまいました。

それ以来香は、社内の既婚者やバツイチの社員に声を掛けられるようになります。もちろん食事だけではなく、体の関係もありました。そんな香の悪い噂は社内に駆け巡りますが、香は気にしていません。
これまで金も地位もない男たちに、乱暴に扱われてきた安い女の香。しかし今の男たちは地位も金もあり、扱われ方は同じでも香自身は自分の格が少し上がったように感じていました。

そんな日々を過ごしているとある日、黒木が香に声を掛けました。
他の男とは違う黒木の良い匂いが、香の胸を高鳴らせます。
黒木に男遊びを止めるように忠告された香は、止める代わりに食事に行こうと無理矢理彼を誘いました。

そうして漕ぎつけた2人きりのランチで、 "彼女さんもきっと浮気してますよ。"と言った香。その瞬間黒木の顔が歪んだのを見て、香の胸に優越感が広がります。弱点を見つけたと言わんばかりに黒木を責め立てますが、その程度で黒木は彼女への信頼を失いません。

"あなたの匂いが好き。"
そう言うらしい写真の中で笑う黒木の彼女は、どこか自分に似ている気がした香。それでも自分と彼女の間には超えられない壁があって、そちら側に行ける可能性なんて全然ないいつも通りの人生を恨みました。

その後、香は黒木の彼女を調べ上げて妬みをさらに募らせます。一流企業に勤め、黒木と付き合い、その上浮気もしていないなんて香には信じられません。
そんなことを考えながら社内を歩いていると、黒木の彼女とすれ違いました。黒木の彼女の名前はみどり。彼女は自分の名前を呼ぶ男性社員に笑いかけると、慣れた様子で隣に並びました。

その姿に香は、"彼女は浮気なんて絶対しない。"と言った黒木の顔を思い出します。
そして浮気をしない人間なんていないと、みどりを睨みつけて–––––––⁉

香の考え、ちょっとわかる気がしますよね。
好きな人に恋人がいると自分と何が違うんだろうと比べてしまいますよね。でも、香の考えはそれを飛び越しています。彼女も浮気をしていると言われて、悲しむ黒木の姿に喜んだり、最後には彼女が浮気をしていると睨みつけたり、なんだか嫌な予感がします。
香が暴走しなけばれいいのですが、きっとそうも行かないですよね。

格差社会のことを嘆く知識人たちの話を聞きながら香は、"高見の見物すぎるだろ。"と内心毒づきました。そして、仕事に行くために着替えを始めます。そこに顔を出したのは少しだけ体調が良くなったらしい母親。 "最近いい服を着られてるんじゃないかい？" 今の仕事を始めてから着られるようになったスーツを見て、母親が微笑みました。

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香はよくある人生を想像していました。高卒の男と結婚して、子供を産んで、アパートで暮らす。そんな当たり前で普通の生活。しかし、そう現実は上手く行きません。

好きになる男は問題のある男ばかり。妻帯者、暴力、借金、訴えられかけたことだってあります。それでもなんとかうまく行けばともがいていることを友達に相談すると、"私は幸せだよ。来年結婚するんだ。"と笑うばかりで、"そんな男と付き合うほうが悪いんじゃない。"と話しを聞いてくれません。

しかも、彼女は唯一の友人なので縁を切ることは出来ません。例え結婚式に呼ばれなくても……。

そんな日々のせいか、香は小さな工務店の事務職をしている頃に睡眠薬を処方されるようになりました。薬の影響でミスが続く毎日。辞めると言ったら大事にされていると思っていたのに、あっけなく"お疲れ様。"と終わってしまいました。

仕事もなくなった香が頼ったのは母親です。しかしこの母親も少し厄介な人で、家事が一切できません。夕食のおかずに出てきたカップスープに、溜息が出ました。そんな仕事を探していた香に派遣会社が持ってきたのは、有名デザイン企業の事務職。

いままでとは違う、誰もが輝いている世界に香はときめきました。しかし、すぐにそこは自分の居場所ではないと気付きます。通勤に1時間かけて行ったそこには自分を笑う人がいて、知らない横文字が飛び交う世界でした。

それでも香はその会社にしがみついていました。その理由は、ある日のエレベーターで出会ったデザイナーの黒木がいたからです。必死に仕事を頑張り、契約更新にまでこぎつけたのはただ黒木との接点がほしいから。そのおかげで契約を更新してから、初めて黒木から声を掛けてもらったことはいまだに忘れていません。

目を閉じればいつでも浮かぶ黒木の姿を励みに必死に仕事に取り組む香。しかし、黒木がどう考えているのかは香の知らないところで––––––––⁉

普通に生きるってすごく難しいですよね。 別にお金持ちになりたいとか、有名人になりたいとか思っていないはずなのに、当たり前ってすごく遠いところにある気がします。香もその悩みに苦しんでいるようでした。 しかし、そんな香の前に現れた黒木。ひどい男性関係を送ってきた香には、あまりにも眩しすぎる存在です。でも、この想いが実になる日は来るのでしょうか？ 楽しみのような、ちょっと見たくないような気がしちゃいますね。

ついにファミレスにて、香と対峙することになったみどり。 みどりは会話をすればするほど、香が狂気染みていることに気付きます。

黒木と香をこれ以上近付けるわけにはいかない……。嘘を交えて話す香に、みどりはいったい何を思うのでしょうか–––––––––。

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白川とみどり、そしてみどりの夫である黒木、黒木の浮気相手の香、全員が出揃ったこの空間からとりあえずみどりを引っ張って出た白川。 みどりは香のしたかったことが気になって、ついに会いに行ってしまい――――！？

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彼の香りと私の匂い28話のネタバレ・感想は準備中です。

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