ふれるかおる・最新話のネタバレと感想｜ Love Jossie

「Love Jossie」に掲載されている「ふれるかおる」最新話のネタバレと感想です。

文字のみのあらすじとなっておりますが、ネタバレ注意です！

伝説の調香師、レイと同じように嗅覚を失ってしまった九条は悩んでいました。このままレイのように香りを感じれれない調香師として生きるか、それとも別の道を歩むか。皮肉にも嗅覚を失ったことで穏やかな日々を過ごせるようになった九条は、家族や同僚たちが心配していることも知らず、アメリカでの研修生活の中でもがいていました。

しかし、香りを失おうと消えないものがあります。それは記憶。 アメリカの古本屋を訪れた九条の前に現れたのはなんと廿楽でーーー!?

調香師。そう聞くと香水を作る人のように感じますが、実はその仕事の幅ってかなり広いですよね。身近なところだとシャンプーとかボディーソープ、ハンドクリームなんかも香りを売りにしている商品がたくさんあります。そう考えると、調香師ってすごく需要の高い仕事なのがわかります。ですが、香りを扱う以上、大切になるのが嗅覚。人よりも鋭い嗅覚がないとわずかな香りの差や人間が本能的に感知している香りなどを感じることは出来ない気がします。しかし、そんな世界で伝説とまで言われた調香師のレイは嗅覚を失っていました。

なので、同じように嗅覚を失った九条もまだ調香師の道を諦める必要はないと思うのですが、どこか九条の表情は晴れ渡っているように見えませんか？いくら人よりも鋭い感覚を持っていないとできない仕事とはいえ、ある程度の努力は必要になりますし、なにより感覚とは人が思うよりずっと簡単にその精度はぶれてしまいます。安定したパフォーマンスを出すには精神の安定が不可欠。しかし、九条は色々問題を抱えていたこともあり、結構難しかったのではないのでしょうか？嗅覚を安定させるために生活に気を使い、毎日増える情報を追い続ける勉強の日々の中、成果を求められ続ける生活。もしかしたら九条は嗅覚を失ったことで、この生活から逃げられると思い始めてしまったのかもしれません。

調香師を志していたはずなのに、背を向けようとしている九条はどこか嗅覚を失ってしまった事実をポジティブに捉えている印象を受けます。しかし、まだその感情が自分の中で消化しきれていない九条はそのことを誰にも話していません。なので、九条の周りの人々は、嗅覚を失ってしまった九条のことを心配しています。それも九条本人が想像するよりもずっと。

幼い頃から嗅覚が鋭く、それを自覚していなかった九条はその才能を遺憾なく発揮していました。例えば、直前に叔母と食事をしてきた祖母が帰宅すると、叔母に会うとは言っていないのに祖母に残る叔母の微かな匂いで叔母と会っていたことを特定しています。それが鋭い嗅覚由来のものと分かればすごいねと思えますが、知らなければ単純に気持ち悪く感じてしまいますよね。ただでさえ、九条は母似。幼い頃、同居していた父方の祖母はそんな九条を無意識の内に敬遠してしまっていました。しかし、それでも家族です。しかも、悪気のまったくない無意識下の行動。家族から指摘され、ようやく気付いた祖母は九条の父である息子たちと共に九条の誕生日のお祝いを計画しています。 九条の誕生日をきっかけに家族の関係が良くなったら、九条の考えも変わるかもしれません。

九条、なんだか悪い方に行ってしまっていますね。難しい夢を追い続けるのって、希望に満ち溢れていると同時に辛い道のりすぎて逃げたくなってしまうこともあると思います。しかし、逃げることも出来ず、苦しい思いが続くと降って来た諦めてもいい理由に飛びつきたいと、一瞬考えがよぎったが最後、もう逃げたいとしか思うことが出来ません。しかも理由がある以上、自分の中で正当化出来てしまうのが厄介ですよね。これから九条、どうなるのでしょうか？

アナイスの登場に九条は、レイも日本に来ているのではと驚きました。しかしアナイスの口から語られたのは、レイの容態の急変そして彼が亡くなったという悲報です。さらに実は甘楽まで過労で倒れたと聞いて、九条は驚きを隠せません。

一方体調が回復した甘楽は、片付けの出来ていない店の片付けをしていました。そこへ現れたのは心配して様子を見に来た九条。彼は転んでしまった甘楽が、手伝ってくれた男性の手を借りて立ち上がるところを見てしまいました。男性と笑いながら話す甘楽。

それを見たことも話さないまま、九条と甘楽は手を繋いで夜の公園へと散歩に出ました。
社長の息子として、居心地の悪い思いをせずに仕事をしている九条。周りに女性社員は大勢いますが、それでも九条にとって一番かわいいのは甘楽です。そんな九条に喜ぶ甘楽、体調を心配する九条の言葉にも元気だよと笑って返しました。

そんな甘楽の笑顔を見て、九条は繋いでいた手を放します。
"ずっと甘えていたね。"と呟いた九条は、ずっと悩んできたことを口にしました。

これまで九条は逃げ続けてきました。時には甘楽を追い詰めたこともあります。もちろん九条もそんな自分の弱さと向き合い、甘楽と同じ歩幅で歩く方法を考えました。ですが九条が出した結論は、そんないつかは来ないこと。

"もうさよならしよう。"
これまでの失敗も後悔も、全部飲み込んだ苦情が出した結論は甘楽との別れ。このまま優しい甘楽と居たら自分が嫌いになって、甘楽を傷つけてしまうとわかっている九条は戸惑う甘楽を最後に抱きしめました。
今ならお互いを忘れられる。

アナイスから調香師として、主役の邪魔をしたくないから表に出たくないというレイの信念を聞いた九条。甘楽と別れた九条が考えるのは、レイと話していたらなにか変わったのかも知れないという期待。ですが、今はもうあり得ない未来です。

匂いのない世界ならきっと忘れられる–––––。

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九条は最悪の選択をしてしまいましたね。
人には誰でも弱いところがあります。だからこそ、そんな弱いところを守ってくれる人や一緒に立ち向かってくれる人を得て、人生を生きていくと思います。でも、九条にとってはその弱さを理由に誰かを頼ることは、その誰かを傷つけてしまうことになってしまうみたいです。そう考えると九条は優しい人ですよね。でも、だからこそ、自分も甘楽も傷つける結論を出してしまいました。
ついに離れてしまった甘楽と九条、一体これからどうなるのでしょうか？