十字架のろくにん・第55～60話のネタバレと感想｜マガポケ

「マガポケ」に掲載されている「十字架のろくにん」第55話、56話、57話、58話、59話、60話のあらすじと感想です。

文字のみのあらすじとなっておりますが、ネタバレ注意です！

久我の本願は至極を自分のモノにすることだった

頭を強打され気を失った漆間。目覚めると目の前には杏奈の亡骸と仁王立ちする久我の姿がありました。久我は、杏奈を殺害したことによって思考が冴え渡り、自分の本当の願望をついに自覚します。その願望とは、至極 京を犯した上で命を奪い、彼を永遠に自分のモノにするという狂乱染みた願いでした。

完全に頭がおかしくなった久我は、拘束中の漆間に対して“至極 京は自分のモノだから漆間には絶対に渡さない”と完全にお門違いな言葉を吐きます。いつもなら簡単に縄抜けできる漆間ですが、結び方がデタラメすぎてそれが叶いません。

そのまま久我にボコボコに殴られる漆間。さすがに死を悟り、同時に弟に対する無念の気持ちが脳裏をよぎります。

そんな2人がいる山小屋のすぐ近くでは、事件を追う安西刑事の姿が……。

あの久我が至極に対して特別な感情を抱いているなんて意外すぎました！至極のことだからおそらく久我の気持ちにはすでに気づいており、その上で彼を利用しているに違いありません。今、一番可哀想なのはやはり至極と重ねられて犯し殺されてしまった杏奈ですよね……。杏奈はずっと久我に想いを寄せていましたが、想いが報われた瞬間に命を奪われるなんて悲惨すぎます。

漆間の反撃開始

久我によるリンチにただ耐えることしかできない漆間。しかも久我は、漆間の身体を使って至極を犯す予行演習を始めようとします！

まごうことなき絶体絶命の大ピンチですが、漆間の心は折れていませんでした。絶対に至極を倒すという使命感が沸き上がってきた漆間は、そばにあった農具を利用して、自身を拘束している縄を解くことに成功します。

ここで漆間の反撃開始！漆間はブロック石を手に持ち、久我に襲い掛かりました。何度も何度も……顔面を激しく殴打し、久我の顔は次第に原型を止めなくなっていきます。

漆間は、久我をまるで至極と重ねているかの如く、鬼の形相で殴るのをやめません。

これまで千光寺・右代・円と3人のいじめっ子たちに復讐を成功させてきた漆間ですが、久我が一番やっかいな相手であることは明らかです。右代はなんとなく4人の中ではまだ救いようがある気がしました。円はただ愚かで頭が悪いだけで至極の言いなりといった感じ。千光寺と久我に関しては、純粋に性格が根っこの部分から性質的に大悪党って感じがします。特に久我の残虐性は、彼のパワーと相まって暴力面に偏っているので恐ろしく質が悪いです。

ついに安西刑事が現場に到着！

激しい攻防を繰り広げる漆間と久我。2人がいる山小屋に向かって、安西刑事は1人で歩みを進めながら、自分がなぜ漆間にここまで執着するのかを考えていました。

安西刑事が漆間に拘る理由。それは4年前に遡ります。漆間の両親が至極の企てによって命を落とし、弟の翔が大怪我を追った大事故の際、安西刑事は捜査線に浮上した至極・右代・久我・円・千光寺の5人に猟奇的な雰囲気を感じとりました。

当時はただの被害者だったはずの漆間でしたが、4年後に安西刑事が彼と再会したとき、漆間があの時の悪魔のような5人と同じ雰囲気になっていたことが、安西刑事はどうしても気になっていたのです。

さらに、かつて自分も過酷な虐めを受けていた経験のある安西刑事は、どうしても自分と漆間を重ねて見てしまったのでした。

そんなことを考えながら歩いていると、とうとう安西刑事が山小屋に到着。扉を開けるとそこには……。

ついに安西刑事の捜査の手が漆間の復讐現場を捉えてしまいました！久我の件が明るみに出たとなれば、他3人の不審死も漆間が犯人であるとすぐにバレてしまいそうです。復讐は順調に進んでいても、ここで漆間が警察に捕まってしまっては、肝心の至極に復讐を果たすことが難しくなってしまいます！

ついに漆間が刑事の命を奪う

安西刑事が山小屋の扉を開けると、そこには顔面崩壊した久我を尚も殴り続ける漆間の姿がありました。安西刑事はこの瞬間、やはり不審死を遂げた3人の命を奪った犯人が、漆間であることを察します。

自分と同じように虐めに苦しみ、怒りと悲しみを抱いたまま成長してしまった漆間に対し、安西刑事は心から同情し、自首を求めました。しかし漆間はそれを拒み、自分にはまだ復讐しなければいけない相手がいると告げました。

安西は、4年前に自分がきちんと漆間の両親の事故を捜査していれば、彼がこんなにも恐ろしい復讐者に育つことはなかっただろうと考えました。無念を抱いたまま、安西刑事は漆間によって絞殺されてしまいます。

安西刑事は悲しい結末を迎えてしまいました。同時に、漆間は無関係の、しかも刑事を手にかけてしまったことから、本当に引き返せないところまで来てしまったことになります。安西刑事を手に欠けることは漆間にとっても不本意だったことでしょうが、果たしてこの場で安西刑事の命まで奪う必要が本当にあったのか？と疑問ではあります。自分の復讐のために罪のない人間の命を奪う……それは最早、正義とはかけ離れた行為です。

刑事の死体を処理する漆間

久我に復讐を果たすはずが、その場には3人もの死体がありました。無関係の杏奈は巻き込まれ、首を突っ込みすぎた安西刑事は漆間によって命を落としたのです。

あんなにも激しいやりとりがあった後だというのに、3人は静かに吊るされ、血を抜かれています。小屋の中では漆間が遺体処理をする音だけが響いていました。

もう引き返すことはできない。漆間自身も、自分の魂が黒く染まっていくのを感じていました。復讐者として突き進み続ける漆間を、止めてくれる人は誰もいません。

漆間は3人の遺体を処理します。安西刑事の頭蓋骨をハンマーで粉砕し、薬液で骨を溶解させ、安西全一という男をこの世から完全に消し去ってしまった漆間なのでした。

今話は死体処理のシーンのみの掲載でした。もくもくと死体を処理していく漆間の姿が怖かったです。しかも埋めるとかバラすだけでなく、骨を粉砕して跡形もなく人を3人もこの世から物理的に消し去ってしまう漆間の死体処理能力はプロ級と言えます。安西の頭蓋骨を粉砕する漆間の表情が、どこか狂気じみていたのがとても印象的でした。心を壊さないと無関係の人間の頭蓋骨を叩き割るなんて悍ましい行為できっこないですよね……。久我への復讐は果たせましたが、漆間のメンタルが心配なところです。

刑事の家に居候をすることになった漆間

皮肉にも安西刑事の相棒である太田刑事の家に居候することになってしまった漆間。太田刑事は行方不明になった安西刑事の安否を気にしているようで、漆間に安西を見かけたか尋ねます。当然漆間はしらを切りますが、脳裏にはハッキリと安西の最後の顔が焼き付いているのでした。

学校では、久我と杏奈が行方不明になったことを受けて、生徒たちの間で“2人が駆け落ちしたのではないか”などという呑気な噂が立っていました。

漆間は祖父の病室を尋ね、久我への復讐を報告。しかしその際に無関係の人間を2人も殺めてしまったことを、打ち明けられず、苦悩します。

自分の道を見失いかけている漆間に声をかけたのは、あの女性で……？

いじめっ子の幹部たち4人へ復讐を果たした漆間ですが、その心は虚無でした。無関係な人をあまりにも巻き込みすぎた漆間は、自分がこれからどうすればいいかも見失いかけているようです。そんな彼に手を差し伸べたのは、白川 要！彼女はおそらく、漆間が久我と円の命を奪ったことに気が付いています。漆間の精神が元に戻るかどうかは、要が今後漆間とどう関わって行ってくれるのかにかかっている気がします！このまま漆間と白川がカップルとして成立しても何の不思議もありませんね！

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